世界で最も美しい霊廟と称される、インドの世界遺産「タージ・マハル」 。デリーから鉄道で3〜4時間ほどのアグラという街にあります。
ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、寵愛していた妃のムムターズ・マハルのために建てたお墓です。その深い愛を表現するため、世界各地から貴石や職人が集められ、国が傾くほどの費用をかけて建設されたそうです。
本当に美しいタージですが、場所や時間を変えて見ることで、見え方が異なります。私はアグラ観光中に、地元の人や旅の人たちに聞きながら、タージのいろんな表情を見ることができました。その中で私が特に気に入った見方をまとめてみました。
朝一番に訪れる
アグラで1泊以上するなら、ぜひ朝一番にタージへ行きましょう!
タージはインドでも特に大人気スポット。いつでも国内外からたくさんの観光客が訪れます。昼頃に行くと激混みで、入場するのも大変な上に、良い写真も撮りづらい・・・。そのため、朝一番に行くのがオススメです。
タージの開門は、具体的な時刻ではなく「日が昇る頃」。地元の人たちにも、絶対このタイミングに行きなさい!と言われました。開門から少し時間が経つと、一気に人が増えてきます。
朝一番に行くと人が少ないだけではなく、気温が高すぎないのもメリット。また朝ならではの凛とした空気感を味わえます。
私は一通りタージマハルを満喫した後に、街のレストランでゆっくり朝ごはんを食べながら、その日の計画を練りました。1日がとっても有効に使えた気分になります。またタージマハルの入場券は、1日有効だそうです。お昼に違った雰囲気を楽しむのも良いかもしれません。
ヤムナー河を挟んで見る
タージの裏に流れるのがヤムナー河。ヤムナー河の対岸には、マターブ・バーグという英国式の庭園があります。ここはシャー・ジャハーンが自分の墓「黒いタージ」を建てる予定だった場所でもあるそうです。
夕暮れ時、このマターブ・バーグからヤムナー河を挟んで夕日に映えるタージを見ることができます。
私が行った日は、残念ながら曇り空で夕日を見ることはできませんでした。けれど正面ではなく裏側から見るタージは新鮮でした。旅の人たちもたくさんいて、お互いに写真を取り合いながらタージを眺めました。
ゲストハウスの屋上から眺める
私一番のお気に入りは、ゲストハウスの屋上から少し遠目に見たタージです。
アグラには屋上からタージが見えるゲストハウスがいくつかあり、朝でも夜でも、好きな時間にタージを眺めることができます。またゲストハウスの屋上は、レストランになっているところが多いので、宿泊しなくても入ることができます。
私がタージの見えるゲストハウスを探す中で、特に眺めがいいという評判を聞いて選んだのが、ゲストハウス《カマル》(Hotel Kamal)でした。1泊およそ1000ルピー。
まったく綺麗とは言えない屋上、周囲に密集する風化した建物。この雑多な空気感のなかに浮かぶタージは、奇妙なくらい白く輝いて見えました。
世界遺産「タージ・マハル」と言って想像するのは、神秘的な白亜の空間です。けれどその周りにはフツーに人が生活していて、少し離れたこの宿からタージを見ると、その生活感がひしひしと伝わってきます。
この街の人はみんなタージマハルが大好きらしく、宿まで乗せてもらったリキシャードライバーは、「タージは俺の恋人」と言っていました。
みんなに守られながら、みんなを見守って、この場所にずっと存在し続けるタージ。この場所から眺めて、改めて美しいと思いました。
カラフルな象嵌細工を近距離で見る
とっても大きなタージですが、世界各地から職人を集めて建てたというだけあって、造りはとっても繊細です。壁に近づいてみると、遠目でみるのとは違う魅力があります。
象嵌細工(ぞうがんざいく)と呼ばれる大理石をはめ込んで作られた精緻な模様は、まさに芸術作品。壁のいたるところに施されていて、見れば見るほどタージが途方もなく贅沢で夢のような建造物だということが伝わっていきます。
遠目にみると真っ白ですが、近付いてみると意外とカラフルな装飾があることがわかります。
満月の夜に見る
最後に、私はチケットが取れず、残念ながら見ることができなかった満月の夜のタージ。
昼間は圧倒的な存在感を放つタージですが、夜になると幻想的な姿が闇に浮かび上がります。特に満月の夜には白い大理石が青白い月明かりに照らされ、さらに幻想的です。
もちろん遠くから眺めるのも良いですが、満月の日を挟む5日間は夜間20:30〜翌00:30に入場することができます。ただ1日400人という制限があり、前日にチケットオフィスへ行き予約しておく必要があります。けっこう人気だそうなので、早めに行った方が良さそうです。
以上、美しいタージをより美しく見る方法でした。
タージはどこから見ても美しく圧倒的な存在感を放ってるので、自分なりのお気に入りの場所や角度を探してみるのもおもしろいと思います!