コロナが流行してからというもの、大好きな海外旅行に行けず、寂しい日々が続いています。海外旅行、特にアジアの都市部や有名観光地に行く際は、密な空間に多く遭遇していた気がします。今となっては、あの人と人のエネルギーがぶつかり合うような熱気が恋しくてなりません。
そこで今回は、コロナが明けたらぜひもう一度行きたい、これまでの旅で出会った特に“密”な空間、インドのバラナシについて書きたいと思います。
バラナシってどんな街?
バラナシは、インドの東北部、ウッタル・プラデーシュ州というところにある小さな都市です。デリーとコルカタの間に位置し、どちらからも列車で14時間ほど、飛行機で1.5時間ほどかかります。
バラナシは、母なる河ガンジス河が流れ、ヒンドゥー教の聖地として栄える街で、大小1500近いヒンドゥー教寺院と270以上のモスクがあると言われいます。 年間100万人を超える参拝客が訪れるそうです。
「インドの中のインド」と表現されることがありますが、それくらい良くも悪くもインドらしい街なのかもしれません。人の数も牛の数、交通量、全てがあふれかえっていて、日本人の感覚からするととにかくヤバい街です。
だからこそ、多くの旅人が憧れる街であり、訪れた人は、「もう二度と行きたくない!」と拒絶する人と、「ここに住みたい!また来たい!」とどっぷりハマる人の両極端に別れるようです。そんな不思議な魅力に溢れる街がバラナシです。
[adcode]
ガンジス河の沐浴
ガンジス河と言えば、沐浴が有名ですよね。ヒンドゥー教徒にとってガンジス河で沐浴をすることは、一生の夢なのだそうです。日の出と共にたくさんの人が集まり始め、拝んだり、体を洗ったり、悠々と泳いだり、洗濯をしたり、日光浴をしたり…いろんな沐浴のスタイルがあるようでした。
私もぜひ沐浴を楽しみたいところでしたが、日本人で沐浴をして無事だったという人を聞いたことがないので、泣く泣く断念しました。日本人でガンジス河に体を浸けたという人は、本当にみんな恐ろしい熱や腹痛に見舞われ、数日の間トイレを離れられなくなるそうです。残念ながら私が訪れたときは、バラナシに滞在できるのが2日間ほどしかなかったので、腹痛になんてなっている暇は全くないので、ガンジス河には浸かれないという判断でした。
その代わり、朝一番で日の出を眺めながらボートに乗って、ガンジス河の朝を満喫しました。雄大なガンジス河に身を浮かべていると、日々現実社会で思い悩んでいるあれこれから一瞬解放されたような気持ちになります。清流なんかとは真逆の、めちゃくちゃ汚い河ですが、なぜか心が癒され、ずっと一人で浮かんでいたいと思ってしました。ガンジス河が偉大と言われる所以はここにあるのかもしれません。
また昼間になるとさらに沐浴をする人が増え、ものすごい熱気で溢れます。これはこれで面白い景色ですが、ゆっくりとガンジス河を楽しみたいのなら、日の出の時間が一番おすすめです。
火葬場
バラナシは「大いなる火葬場」という別名でも知られており、ガンジス河のほとりに、いくつか火葬場、つまり死体を焼く場所があります。最も有名なのが、マニカルニカ・ガートにある火葬場です。ちなみに「ガート」というのは、川岸に造られた階段状になっている場所で、沐浴ができる場所のことです。
このマニカル・ガートでは、二十四時間火葬の煙が途絶えません。ここで焼かれた死者の灰は、ガンジス河に流されます。ただし、誰でも火葬してもらえるわけではなく、子供や出家した人などは石の重しをつけてガンジス河に沈められます。
あるとき街のラッシー屋さんの軒先でラッシーを楽しんでいると、目の前を明らかな死体(布に包まれていましたが)が横切って行ったときは唖然としました。もちろん火葬場に行くともっとたくさんの死体が集まっていますし、焼かれている様子も見えます。ヒンドゥー教徒にとって、死んだらこのガンジス河の火葬場で焼かれることが栄誉あることなのだそうです。そんなわけで、バラナシはたくさんの「死」が集まる場所なのです。
[adcode]
プジャ
バラナシで最大の“密”だと感じたのが、プジャです。プジャとはヒンドゥー教の礼拝の儀式で、日没後、ダシャーシュワメード・ガートで毎日行われています。ヒンドゥー教徒だけでなく、多くの観光客も集まるため、それはもうすごい人だかりになります。
火を使ったり音楽を使ったりしながら礼拝が行われるのですが、なかなか華やかで、ある種パフォーマンスのようでもありました。
まとめ
とにかくバラナシは、どこへ行っても密!何もかもが密集しています、特に入り組んだ細い路地が多いので、密集度はさらに上がります。人が一人通れるくらいの路地に牛がドーンと寝ていることもしょっちゅうあります。
日本では絶対にない空気感、人の熱気が感じられる私にとっては本当に楽しい街でした。バラナシの魅力を知るには私がいた2日という滞在期間は短すぎたので、今度はぜひ長期滞在をしたいと思っていたのですが、この状況ではまだまだ難しそうですね。日本もインドも、そして世界が、また安心して“密”になれるときを待つばかりです。